住宅ローンには「ミックス返済」という方法もある
住まいを購入されるほとんどの方は、長期の住宅ローンを組まれます。
前回に続いて「変動金利と固定金利どちらが良いのか?」の後編として、どちらも選びきれない方におすすめの選択肢をご紹介します。
まだ前回の「住宅ローンは変動金利と固定金利、どちらがお得?」をご覧になっていないかたは、まずそちらから見ていただくことをお勧めします。
【コラムニスト】
不動産コンサルタント 黒田健一
●ミックス返済でリスクヘッジ
変動金利か固定金利か、どちらも選べないという方にお勧めの方法が「ミックス返済」です。
これは住宅ローンを借り入れるタイミングで選択する事になりますが、その名の通り「変動」と「固定」をミックスして借入れするというやり方で、例えば3,000万円をお借入れする場合、1,500万円は変動金利・1,500万円は固定金利などといった方法で、リスクヘッジするわけです。(下図参照)
要するに、変動金利だけで借りるよりも返済当初の利息負担は増えますが、金利上昇のリスクをその分軽減できるということになります。
このミックス返済では、最初にお借入れする際、この変動金利と固定金利の「借入れ割合」もご自身の考え方で決められます。
どちらかというと変動金利のメリットを享受したいけれど、一定の安心が欲しいという方は変動金利で借入れる金額を多くして、例えば2,000万円は変動金利、1,000万円は固定金利という具合にある程度自由に調整できます。
また、途中で繰り上げ返済をする際には、金利情勢を見て「まだ金利は上がらないな」と思えば固定金利で借りている部分に繰り上げ返済をしたり、その時点で変動金利が上がっていて、固定金利と同水準であれば変動金利で借りている部分に繰り上げ返済するというふうに、その時の金利情勢をみて返済計画を調整することもできます。(下図参照)
●ローンを2つに分けておくメリット
ちなみにミックス返済という名目ではありますが、「変動金利」と「変動金利」のミックス返済というのができる金融機関も多いです。ローンを2つに分けておくと言った方が分かりやすいでしょうか。
当初は変動の低金利メリットを享受したいけれど、先々金利が上がりそうになったら固定金利に切り替えようと思っていても、その時に借入金額全部を固定金利にしてしまうと、急に月々の返済金額が上がってしまうので少しでもリスクを分散しておきたいという方におすすめです。(下図参照)
このミックス返済のデメリットは、2本のお借入をするので事務手数料が2倍かかるということです。
事務手数料自体は数万円なので、それも含めて全額固定金利で借り入れるよりも恐らくお得ですし、変動金利だけで借入れするのはどうしても不安という方にとっては、大きな金額ではないかもしれません。
いずれにしても、住宅ローンは長期かつ大きな金額を借入れする事になりますが、理想のマイホームが見つかってからでは、あまり検討する時間が無いことも多いので、今のうちから色々と比較検討されてみてはいかがでしょうか?
住宅ローンの借入金額が、どのくらいであれば金利上昇のリスクを含めても、収支のバランスが良いのかということも大事ですので、他の支出と合わせて早めに一度シミュレーションしておくことが重要だと思います。
今回は、以上となりますがいかがでしたでしょうか?
皆さんが安心して理想の住まいでお過ごしいただけますように!