建築業界大ピンチ?!世界的な木材不足

皆さんは、今、世界的な木材不足となっていることをご存じでしょうか?

戸建の購入を検討されている方は、既に新聞やインターネットなどでも情報を得ている方もいらっしゃるかと思いますが、現在、様々な要因から世界中で木材が不足し始めています。

今回のコラムでは、これから戸建の購入をとお考えの方が注意しなければならない点をまとめてみました。

【コラムニスト】

不動産コンサルタント 黒田健一

●これから戸建を考えている皆さんは要注意!

業界内では先月の終わりごろから木材不足について少し話題になっていたのですが、今月に入って如実にその影響が出始めました。ご存じの通り、住宅の建築には大量の木材を使用しますが、そのほとんどは「輸入木材」で賄われています。ところが、現在はまったくと言って良いほど、その輸入木材が入ってこない状態になっているのです。

その要因は主に3つあります

<世界的木材不足の3大要因>

(1)アメリカの住宅建築ラッシュ

現在アメリカではコロナ禍からの景気回復、低金利、コロナの影響による地方転居の動きなど、様々な要素が相まって、住宅の建築ラッシュが始まっています。

(2)中国の木材買占め

中国もコロナ禍を脱したと言われており、現在は好景気の状態を取り戻しています。その結果、どんどんと住宅建築が進められており、アメリカ同様に建築ラッシュに対応するべく、木材の買い占めも行われている状況です。

(3)輸送船のコンテナ不足

木材に限らずですが、船での輸送にはコンテナが必要です。コロナ禍の前には血液のように世界中でスムーズにコンテナが行き来していましたが、昨年のコロナ禍の影響から、各国の港での荷下ろしが出来ず、海上でコンテナ船から荷下ろしできないコンテナが滞留することになってしまった結果、世界中でコンテナ不足という状態になってしまいました。

●木材の不足によって今後どうなっていくのか?

予想される影響は大きく2点です。

(1)建物の工期の問題

想像に難くないですが、このままいくと「木材の不足=家が建てられない」という事になっていきます。もしくは家が建てられないという事は無いまでも、この木材不足がいつまで続くのかは今のところ誰にもわからないので、良い土地を見つけて建築請負契約をしたものの、建物の工事期間が延びてしまうという可能性があります

(2)建築費の高騰

現在でも建築会社は木材の確保に躍起になっており、取り合いの状態になっていますので、木材自体の価格が高騰し始めています。すなわち建築費が高騰していくことにもなっていきますので、現在の不動産相場は過去のコラムでもお話した通り高い水準ですが、土地+建物の価格は更に高くなっていく可能性もあります。

●戸建購入を検討されている方はどうすれば良い?

急いで購入しなくても良い方は、この木材不足の動向を注視しながら様子を見た方が良いと思います。

土地を購入して建物を建築する方は、土地を購入した段階から建物完成までの間は、土地分のローン返済、又は土地分のローンの金利だけを支払い続けなければなりません。賃貸に住まわれている方はその間、家賃も払い続けなればならないので、建築期間が延びると、建物が完成するまでの負担額がどんどん増えていきますし、木材不足解消の出口が見えていない間はとても不安な状態が続きます。

出来るだけ早く購入したい方は、検討できる物件があるのでしたら、早めに結論を出した方が良いと思います。もちろん、ご自身が後悔しない物件かどうか、しっかりと精査は必要ですが、戸建を探している方はみなさん同じ状況な訳ですから、競争率が高まるのは時間の問題といえます。

現在の状況でも比較的安全なのは、「完成している建売住宅」でしょう。又は、「既に着工していて木材を確保できている建売住宅」も同様です。

 次に比較的安全なのは「中古住宅」となりますが、リフォームを必要とする場合には、木材不足が影響する場合もありますので、注意は必要です。

 

ということで、世界的な木材不足をうけて

・「土地を購入して注文建築を建てたいという方」

・「中古戸建をリフォームしたい方」

は特に契約前に注意が必要です。

 

建築(工事)請負契約には一般的に「不可抗力での工期延長の場合には、注文者に必要以上の費用負担が発生しても建築会社は責任を負わない」という内容が含まれている事が多いです。今現在でも悪質な建築業者は、この木材不足をお客様に説明せずに建築請負契約を結ばせているケースがあると聞きますので、建築会社と契約する前に木材不足に対してどのように対応しているかしっかりと確認しましょう。

今日2021年4月26日現在、色々な建築会社にヒアリングをしてみましたが、各社対応に追われているようです。木材自体が全く無い会社も出てきていたり、今の在庫が無くなるまでに、何かしらの仕入れルートを確保しようと躍起になっている会社がほとんどで、価格の見積りもどんどん変動しているとのことです。

建築会社によっても状況は違いましたので、戸建購入で特に注文建築をお考えの方はこの問題を認識のうえ、情報も収集しながら慎重に進めて頂けたらと思います。


ということで、今回は以上となりますが、いかがでしたでしょうか?

コロナ禍の影響が思わぬところに出た形とはなりますが、戸建てをお考えの方は今後も世界の木材需要と供給のバランスを注視しつつ、専門家と相談しながら、購入や住み替えのタイミングをご検討いただければと思います。ご相談がありましたらご遠慮なくお知らせください。

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